どうして勉強するの?
   しなくたって、生きていけるじゃない。

                            文:玉木英明

お父さんやお母さんに、勉強しなさいと言われます。
 聞けば、そのお父さんやお母さんも
  子供のときに、勉強しなさいと言われたといいます。
   なぜ、大人たちは勉強しなさいというのでしょうか。
    勉強なんかしなくたって、生きていけるではありませんか。


小学一年生。
  字は、たくさん知りません。
   一人で、遠くへも行けません。
    説明が、うまくできません。
     悲しくなって泣いてしまうこともあります。
      でも、こんな未熟なこどもたちに
       大人たちはみんな微笑んでくれます。
        この世に生をうけて、ほんの数年の子供たちを、
         大人たちは期待をこめて見守っているのです。

         
     しかし、こう言われます。
      しっかりと挨拶をしなさい。
       人の話を、目を見てよく聞きなさい。
        忘れ物をしてはいけません。
         困っている人を助けなさい。
          そうしないとチャンスに会えません。


小学六年生。
  計算の早い子供、いろんな漢字を読める子供、
   運動の上手な子供、優しい言葉を友人にかける子供。
    こんな特技をもった子供たちに、
     大人たちはあたたかい微笑みを送ります。
      やがてその特技が花のつぼみとなることを
       知っているからです。
     

        しかし、こう言われます。
         遅れてはいけません。
          休んではいけません。
           怠けてはいけません。
            約束を破ってはいけません。
             ため息はついてはいけません。
              そうしないとチャンスに会えません。

中学3年生。
  外国語を読む人、関数を理解する人、化学反応式を書く人、
   政治のしくみを知る人、運動部の後輩にいつも囲まれている人。
    こんな特別な輝きをもつ人たちに、
     大人たちは、特別な微笑みを送ります。
      やがて、その人たちが大きく羽ばたき始めることを
       予感しているからです。
       
        しかし、こう言われます。
         夢を持ち続けなくてはいけません。
          あきらめてはいけません。
           挫折してはいけません。
            続けなければいけません。
             そうしないと、チャンスに会えません。

高校2年生。
  世界中を駆け巡る自分を思い描く人、
   物理や化学の法則に没頭する人、
    先人たちの残した文学作品に様々な思いをよせる人、
     社会で自分が活躍する姿を想像する人。
      こんな夢に満ちた人たちに、
       大人たちは強い声援を送ります。
        やがてその人たちに、飛躍の時が訪れ、
         大きく社会に貢献し始めることを
          知っているからです。

     
           しかし、こう言われます。
            自信をもちなさい。
             人に認められるように行動しなさい。
              周りに徳があるように振る舞いなさい。
               そうしないとチャンスに会えません。

   勉強するのは、なぜでしょう。
    大人たちはどうして勉強しろというのでしょう。

     そう、勉強すれば、たくさんのチャンスに出会えることを、
      大人たちは、よく知っているからです。




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